2025年公開され実写映画としては久々の大ヒットとなった映画「国宝」を見ました。
吉田修一の原作を李相日が監督、主演は吉沢亮。
1964年、長崎ヤクザの組長を父に持つ立花喜久雄(吉沢亮)は、抗争事件で父親を亡くし、上方歌舞伎の名門花井半二郎(渡辺謙)に拾われ、その女形としての天賦の才能を見出される。
半二郎には実子で梨園の御曹司というべき俊介(横浜流星)がいたが、喜久雄との才能の違いに苦しみながらも二人は切磋琢磨して芸を磨いていきます。
喜久雄は喜久雄で背中に入れ墨を背負って、全くツテのない歌舞伎の世界で実力だけで這い上がろうと必死の努力を続けますが、二人には過酷な運命が待ち受けていたのでした。
歌舞伎の有名な演目、例えば「仮名手本忠臣蔵」や「菅原伝授手習鑑」、「義経千本桜」、「勧進帳」「娘道成寺」などは、私(1958年生)でもなんとなく内容は知っていますが、私の親の世代では実際に舞台を見たことがなくても、ある程度の知識があるのはあたりまえだったように思います。
小津安二郎の「麦秋」で、歌舞伎のラジオ中継のシーンがあったように、一般教養的な面があったと思います。それが現代ではなくなり、今の方達には新鮮に映ったのではないでしょうか。
ストーリーもまた、芸を極めるために他の全てを犠牲にし、やがて喜久雄は人間国宝となるのですが、話としては昭和の臭いのするとてつもなく古くさい「芸事譚」そのものでした。それもかえって目新しく感じられたのでしょうか。
しかし、何と言ってもそれらを支えたカメラがとてもいいです。
見ている間、日本映画とは思えないようなカメラワークで画面から目が離せなくなったことは間違いありません。
きらびやかな舞台と、その裏にある古い因習の世界との対比を見事に描いた作品と思います。
出演は他に、永瀬正敏、宮澤エマ、嶋田久作、三浦貴大、寺島しのぶ、高畑充希、見上愛、瀧内公美、森七菜、中村鴈治郎、田中泯、など